自己破産とは?デメリットやかかる費用と流れ・破産後の生活について
自己破産とは、債務者(あなた)自身が破産申し立てをすることで借金を解決する手続きのことです。自分から裁判所へ自己破産の申し立てをしない限りは返せない状態でも借金地獄に居続けることになります。
今ある借金を返すことができない、目途が立たない場合は自己破産を考えるべきです。自己破産は自身の財産を全て処分することになりますが、生活を立て直すチャンスを得られるので早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
本サイトでは自己破産できる人とできない人、自己破産をするためにかかる費用と終了までの時間・流れについて分かりやすく解説しています。自己破産が借金解決の全てではないため、他の借金返済方法も踏まえて債務者(あなた)にあった解決方法をご紹介していきます。
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自己破産とは
自己破産とは、収入や生活に変化があり借金を返済できなくなった場合に、裁判所に申立てを行うことで、財産を清算して債権者に配当する手続きです。その後、裁判所から免責決定が下されれば、残りの借金が免除され、借金はゼロになります。
自己破産をすると家や保険といった一定の財産を処分することになり、財産がなくなってしまいます。しかし、裁判所の基準である99万円以下の現金と20万円以下の財産については、手元に残すことができるので最低限の生活はできると思ってよいでしょう。
自己破産ができる人とできない人
自己破産できる人
支払い能力がないと認められたの人
自己破産を認める条件のひとつが借金が支払い不能状態であることです。一般的に借金の総額を36か月で割った金額が、毎月の返済可能額を上回っている状態が返済のめどが立たないとみなされます。借金総額を上回った財産を所有している場合も、換金がむずかしい場合は支払い不能と判断されます。
例)500万円の借金
借金額500万円÷36か月=毎月の返済額約14万円
毎月の返済可能額が10万円だった場合、返済のめどが立たないということになる
※上記はあくまで一例です、詳しくは専門家にご相談ください。
免責不許可に当たらない人
破産法では免責不許可に該当する人は自己破産が認められません。以下は免責不許可に該当する人で、一つでも当てはまると自己破産ができません。
- 財産の隠蔽や差し押さえられる財産の損壊行為をする人
- 破産すると分かって商品の買い入れをおこなって不利益な条件で処分する行為
- 債権者に利益を与える目的もしくは損害を与える目的で借り入れをおこなう行為
- 浪費や賭博行為
- 帳簿や書類など改ざんや隠蔽する行為
- 虚偽の債権者名簿を提出する行為
- 破産手続きの調査を拒否したり、虚偽の説明をする行為
- 破産手続きにかかわる代理人の職務を妨害した人
- 自己破産をしてから7年以内の人
上記の内容をふまえると、借金は故意に作ったものでないという前提で、借金の返済能力がないと認められた人が対象になるということになります。
自己破産のデメリットとメリット
自己破産のデメリット
仕事ができなくなることがある
自己破産で仕事をやめる必要はありませんが、手続き中は法律上「破産者」という扱いになるため、職業によっては公務員資格の利用が制限されます。そのため、破産者として資格制限される約3か月~6か月の間は仕事ができなくなります。
警備員や保険外交員などの職業は公的資格の利用が制限されるため、自己破産の手続きが進んでいる間は、職業に就くことができません。しかし、手続きが終われば借金の返済も免除され、仕事にも戻ることができます。自身の職業が自己破産によって影響を受けるかについては弁護士に相談するとよいです。
クレジットカードが使用できない期間がある
自己破産を申請し、手続きすると信用情報機関(ブラックリスト)に記載されることになるため、5年~10年間はクレジットカードの作成および使用はできなくなります。5年~10年経過すればクレジットカードを再び作成して使用できるようになります。
信用情報機関(ブラックリスト)に記載されている期間に、キャッシュレス決済を利用したい場合は、預金から直接支払われるデビットカードやチャージ式で利用するプリペイドカード、携帯電話の利用料金と一緒に支払うキャリア決済を利用するとよいでしょう。
土地やマイホームを没収されることがある
自己破産をすると全ての財産を失うと思われがちですが、必ずしもそうではありません。具体的には、99万円以下の現金と20万円以下の財産は処分の対象にはなりません。また、仕事をする上で必要な器具・道具・原料についても処分の対象から外れます。
土地やマイホームはむずかしいかもしれませんが、家具や預貯金についてはそれほど心配する必要はありません。土地やマイホームを守りたい場合は、自己破産ではなく、任意整理や個人再生を検討することをおすすめします。
官報に掲載されて自己破産がバレることがある
官報とは国や国民に関する様々な情報が掲載されている情報誌で土日祝を除く平日に刷新されています。官報には自己破産に関する情報も記載されており、自己破産を手続きしている人の実名、住所、日付、手続きをした裁判所が公表されます。
官報はインターネットでも開示され、誰でも読むことができますが、検索でヒットすることはほぼないといっても良いほど目立たない存在となっています。また、官報の販売をおこなっている場所も政府関連施設に限られているので一般の人の目につくことはほぼないでしょう。
ただし、実名と住所が公表されていることは変わりないため、周囲に自分が自己破産していることがバレる可能性が0とは言い切れません。
自己破産のメリット
債権者からの取り立てや訴訟が停止する
自己破産の申し立てがされた時点で債権者は取り立てや訴訟することができなくなります。すでに始まっている裁判(訴訟)についても停止され、自己破産の手続きが最優先されます。債権者は自己破産の手続きをしている債務者に対して、取り立てや訴訟の提起は禁止されているので取り立てから解放されます。
借金の支払いが不要になる
免責手続が承認されると、裁判所が支払いが不可能だと認め、借金の支払い義務が免除されます。その結果、税金等一部を除いたすべての借金の支払いが不要になり、借金はゼロになります。これにより、督促や取り立てもなくなり、今後の生活の再建に向けて考えることができ、借金の苦しみから解放されます。
名義が異なる財産は処分の対象にならない
裁判所が定める基準以内の財産(99万円以下の現金や20万円以下の預貯金など)は、手元に残すことができます。また、必要な家財道具(洗濯機や冷蔵庫など)は、処分の対象外となっています。なお、自分の名義以外の財産は、処分の対象外なので、妻名義の自動車や母の名義の保険などは、処分の対象にはなりません。
仕事に関係する道具は処分の対象にならない
自分とは違う名義の財産が処分の対象にならないことに加えて、仕事をする上で必要な器具・道具・原料についても処分の対象から外れます。ただし、手元になくても仕事ができる財産や設備、発注をもらっていて、入金待ちとなっている売掛金などは例外となり没収の対象となることがあります。
自己破産にかかる費用や手続きを詳しく解説
自己破産は手続きで時間と費用がちがう
自己破産は債務者(借金している人)の財産の状況に応じて、同時廃止事件と管財事件の2つに分けられます。それぞれの手続きによってかかる時間と費用がちがいます。同時廃止事件の方が免責許可まで3か月~6か月と短いです。同時廃止事件か管財事件かは自分で選ぶことはできず、裁判所によって判断されるものです。
同時廃止事件
同時廃止事件とは、財産がなく免責理由もない場合に適用される手続きのことで、財産の精算をする必要がないので申し立てから免責許可までの期間が約3か月と短いのが特徴です。同時廃止は申し立てをして即日で破産手続きが終了となるため、申し立てに必要な書類の準備期間が同時廃止事件にかかる期間と思ってよいです。自己破産のうち70%程度が同時廃止事件です。
清算できる財産 |
20万円以上 |
同時廃止事件にかかる費用 |
30万円以上 |
免責許可までの期間 |
3か月~6か月 |
管財事件
管財事件とは、精算できる財産を所有している場合や、免責不許可事由がある場合に適用される手続きのことです。破産管財人が財産を調査し管理するので手続きは長期化しやすく、約6か月から1年程度かかります。書類作成などの申し立てにも3か月以上かかります。財産の種類が少ない場合に適用される少額管財事件の場合には管財事件が簡素化され期間は短縮します。
清算できる財産 |
33万円以上 |
管財事件にかかる費用 |
50万円以上 |
免責許可までの期間 |
9か月~15か月 |
自己破産をおこなう流れ
確実に自己破産するなら弁護士に相談をする
債務者(あなた)自身が手続きすることもできますが、弁護士・司法書士に依頼することで自己破産の手続きはスムーズに進みます。また、債務者が独断でおこなうと免責許可が下りない可能性もあります。司法書士には書類作成の代行を、弁護士には裁判所とのやり取りを含めた手続き全般を代行してもらうことができます。
受任通知で督促の停止
自己破産の手続きを弁護士・司法書士に代行すると、債権者に対して「受任通知」という書類が送られてくると自己破産の手続きが開始されるので、債務者(あなた)は月々の返済をしなくてもすむようになります。
受任通知には法的な効力があり、債権者は督促や取り立てを行うことができなくなるので自己破産手続きをスムーズに進めることができます。
申立の書類を作成する
裁判所に自己破産の手続きを申請する書類を作成します。弁護士・司法書士に依頼した場合は、ほとんど代行してもらえるので、作成した書類を債務者(あなた)の居住地域を管轄する地方裁判所に提出します。
破産手続きの開始
同時廃止か、管財事件(少額管財事件)かが決まり破産手続きが開始されます。一部の職業や資格はここから免責確定までの一定期間に制限を受けることになります。
免責審尋(めんせきしんじん)
裁判官、破産管財人(管財事件の場合に裁判所から選出される)と面談し、自己破産する意思などを最終確認されます。免責審尋に行かないと免責許可が下りない可能性があります。
免責許可が決定(自己破産終了)
最終的に免責を確定するのは裁判所です。
借金を支払う必要がなくなり、制限されていた一部の職業や資格も解除(復権)されます。
自己破産の相談はどこにすればいい?
司法書士事務所と弁護士事務所のちがい
代理人になれるのは弁護士
司法書士と弁護士の大きなちがいは、代理人になれるか、なれないかのちがいです。司法書士は自己破産に必要な書類の作成は代わりにすることができますが、代理人になって裁判所に出廷することはできません。また、同席することもできません。
一方で弁護士は代理人になることができるので、書類作成だけでなく裁判所の出廷も代わりにいってくれます。また、自己破産の手続き(管財事件)にある債権者集会にも同席してもらえます。
ただし、弁護士に依頼しても裁判官との面談(免責審尋)や債権者集会には、必ず出廷する必要があるため、最低でも1回は裁判所に行く必要があります。
管財事件になった場合に債権者集会が行われ、数回出廷する必要がでてきます。
免責審尋にかかる時間は5~10分程度、債権者集会にかかる1回あたりの時間は5分程度ですが、裁判所は平日しか開いていないため、平日に仕事をしている方は裁判所に出廷するために仕事を休む必要があります。
依頼費用は司法書士の方が安い
司法書士は代理人として出廷することができないため、書類作成とアドバイスをするしかありません。そのため、弁護士よりもおこなえることが少なくなります。そのため、依頼する必要にも差が生じて、司法書士事務所では11万円~44万円程度としているところが多いです。一方で弁護士事務所では33万円~44万円程度としているところが多いです。
これらの費用にあわせて「予納金」といって、裁判所で破産管財人を選出した場合に支払う金額が加算されます。
自己破産後の生活について
クレジットカードを作ることができない
自己破産をすると信用情報機関に名前が載るため、クレジットカードの審査が通りにくくなります。
債務整理をすると、「ブラックリストに載る」と言われていますが、ブラックリストというものは実在せず、信用情報機関に債務整理した事実や返済が一定期間滞ったなどの事故情報が記録されます。
信用情報機関に事故情報が記録される5年~10年程度の間は、貸金業者に「支払い能力に難がある」と判断されて、新たにクレジットカード発行の申し込みをしても、原則として審査には通らない可能性が高くなります。
ローンを組むことができない
自己破産をするとブラックリストに載ります。ブラックリストに登録される5年~10年の間はカードローンや住宅ローン、自動車ローンの申し込みをしても審査が通りにくくなります。ブラックリストが削除されてから再びローンを組むことができます。
新しく財産を持つ・構築することは可能
破産手続きをして財産を処分し、免責許可が下りた後の財産については没収や処分の対象になりません。そのため、新しく財産を持ったり、財産となるものを構築しても問題ありません。また、過去の債権者から取り立てがおこなわれるといったこともありません。
破産したことは仕事に影響しない
破産した情報は官報と信用情報機関にのみ公表されますが、戸籍情報などの普段使用することが多い公的書類に公表されることはありません。市区町村には破産者名簿という破産者の情報が記された名簿がありますが、載るのは破産手続きをしている数か月であり、破産手続き終了後(面再許可)は破産者名簿から名前が消えます。
破産した情報は自分で公言しない限りは周りに知られることがないため、破産後の仕事や就活には何ら影響はありません。
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