全日信販の過払い金請求ができる条件・返還率・期間

全日信販の過払い金請求ができる条件・返還率・期間

全日信販株式会社は、岡山県に本社を置いている信販会社です。中国・四国地方を中心に事業を展開しており、ショッピングクレジットを主要事業としています。

 

2006年頃まで、キャッシング金利を利息制限法の上限を超える金利に設定していたので、2006年よりも前に全日信販からクレジットカードキャッシングをした方は、過払い金が発生していて取り戻せる可能性があります。

 

全日信販に過払い金請求をしたらすぐに返還されるわけではないので、話し合いや裁判での交渉方法や返還までにかかる期間を知っておくことが大切です。

全日信販の過払い金請求の対応状況

全日信販は、新生銀行グループに属する企業であり財務基盤は安定しているので、過払い金請求に対する対応状況は良好といえるでしょう。

また、今後ほかの新生銀行グループ企業に吸収合併されたとしても、新生銀行資本の傘下に過払い金債務は引き継がれるので、全日信販が倒産して過払い金請求ができなくなるリスクはほとんどないといえます。

全日信販は過払い金請求に対して比較的良好な対応をしています。話し合いの交渉である任意交渉でも、発生する過払い金に対して実際に取り戻せる額の割合(返還率)が80%程度とすることがあります。

裁判をする場合であれば、過払い金100%に利息を付けて取り戻すことも可能です。また、裁判によって全日信販の提示額が上がることで、裁判中に和解することもあります。

過払い金請求には10年の時効があるので、時効が成立してしまう前に司法書士や弁護士に相談をして、過払い金請求の手続きをすることをおすすめします。

全日信販の過払い金請求ができる条件

2006年までに全日信販のクレジットカードを使用して借金をしていた方は、過払い金請求をすることができます。

借金を完済している、あるいは借金を返済中でも請求できます。また、借金の返済を延滞したことがあったり、亡くなった家族が過去に全日信販で借り入れをしていたケースでも請求することができます。

ただし、過払い金請求の対象となるのは、全日信販のクレジットカードを使用し、キャッシングを利用した場合のみであって、ショッピング枠での利用は過払い金請求の対象とはなりません。

全日信販の過払い金が発生する仕組み

貸金業者からの借り入れには、利息制限法と出資法の2つの法律で上限金利が定められています。利息制限法の金利が20.00%、出資法の金利が29.20%とされていました。

のちに法改正がされるまでは、利息制限法と出資法のどちらかの上限金利を決めて貸し付けることができたので、全日信販は利息制限法で定められた上限金利を上回る金利で貸し付けをしていました。

しかし、2010年6月に出資法と貸金業法が改正されたことで、貸し付けの上限金利が出資法の金利29.2%から、利息制限法の金利20.0%に引き下げられました。

全日信販は、2006年ごろに利息制限法の上限金利である「20.00%以内」に変更しています。

2006年ごろより前から全日信販で借り入れていれば、グレーゾーン金利と呼ばれる、利息制限法と出資法の金利差で払いすぎていた利息を、過払い金として、全日信販に過払い金の返還請求をすることができます。

借り入れ金額によって上限金利が変わります。借り入れ金額が10万円未満の場合は上限金利20%、10万円以上100万円未満の場合は上限金利18%、100万円以上の場合は上限金利15%です。

2006年に全日信販が金利を引き下げたあと借り入れした方の場合は、上限金利が利息制限法で定められた金利の範囲内なので、過払い金が発生しません。

全日信販に過払い金請求ができなくなるリスク

時効が成立して全日信販に過払い金請求ができなくなる

過払い金には時効があり、最後の取引から10年が経過すると時効が成立して、全日信販から過払い金を取り戻すことができなくなります。

全日信販からの借り入れに関する情報は、全日信販から取引履歴を取り寄せることで確認することができます。

倒産して全日信販に過払い金請求ができなくなる

全日信販は、新生銀行グループに属する企業であり財務基盤は安定しているので、過払い金請求に対する対応状況は良好といえるでしょう。

しかし、かつての大手貸金業者であった「武富士」が倒産したことからも、全日信販の経営状況が悪化したり倒産する可能性がゼロではありません。

そのような状況で過払い金請求ができなくなる前に、はやめに手続きをすることをおすすめします。

全日信販の過払い金請求にかかる期間と返還率

話し合い和解をするか、裁判をするかによって、過払い金を取り戻すまでにかかる期間(返還期間)が違います。

話し合いによる交渉で和解した場合は、返還期間が短くなりますが、取り戻せる過払い金が少なくなる傾向があります。一方で、裁判をする場合は、返還期間が長くなりますが、取り戻せる過払い金が多くなる上に、過払い金の元本に対する利息もあわせて取り戻せる可能性があります。

全日信販は、過払い金請求への対応が比較的良好なので、話し合いの交渉の場合は、2か月~3か月程度の期間で高い返還率で取り戻せる可能性があります。裁判の場合は、6か月~7か月程度の期間がかかりますが、発生する過払い金100%に利息を付けて取り戻せる可能性があります。

自分で過払い金請求をすることもできますが、貸金業者との交渉に慣れていないので返還期間が長くなったり、過払い金の返還率が悪くなって取り戻せる金額が少なくなるので、過払い金請求を専門的にあつかっていて、全日信販と交渉経験が豊富な司法書士や弁護士に依頼するべきです。

司法書士・弁護士に依頼してかかる期間と返還率

話し合いで和解(任意交渉)の目安

返還期間

返還率

2か月~

80%程度

裁判による判決の目安

返還期間

返還率

6か月~

100%+利息

  • 上記に記載している返還期間・返済率は目安であって、必ずしも当てはまるものではありません

  • 上記に記載している返還期間・返済率は借り入れの状況、全日信販の経営状況によってかわります

  • 過払い金が返還されるまでの期間によって、過払い金の元本に対する利息はかわります

過払い金請求のシミュレーション

例えば、100万円の借金を29%の金利で借り入れした場合、1年間に29万円の利息が発生して、借金は129万円になります。

しかし、これを利息制限法の上限金利15%で計算すると、1年間の利息は15万円で借金は115万円になり、29万円の返済をすると借金は86万円まで減少します。

6年間継続して返済をすれば、29%の金利の場合は15%の金利の場合よりも22万円多く返済することになります。この22万円を過払い金として、全日信販に請求することができます。

全日信販の過払い金を取り戻すまでの流れ

全日信販から取引履歴を取り寄せる

過払い金請求をする前に、全日信販から取引履歴を取り寄せます。取引履歴には、借り入れしたときの金利・金額・日付、返済した金額・日付が記載されています。

全日信販の取引履歴は、全日信販のお客様相談室に連絡をするか、直接窓口へ行くことで取り寄せることができます。取引履歴の取得には手数料がかかり、窓口での受け取りの場合は500円、郵送の場合は900円です。

全日信販から取引履歴を取り寄せるときの注意点

過払い金請求をする目的を伝えない

全日信販から取引履歴を取り寄せるときに、過払い金請求をするといった目的を伝えないように注意してください。

「返済義務がないと知っていて、任意で返済した借金の過払い金は請求することができない」といった内容が、民法705条によって定められています。

全日信販に過払い金請求する目的を伝えた上で返済を続けていると、過払い金が少なくなってしまう場合や、過払い金を取り戻せなくなる可能性があります。

ゼロ和解しない

全日信販から取引履歴を取り寄せるときに、全日信販から「借り入れを0円にする(ゼロ和解)」、「利息を減額する和解書にサインをする」ことが提示されることがあります。

全日信販からの条件で和解した場合に、過払い金請求をする権利を放棄することが和解書に記載されていると、過払い金請求が発生していたとしても、過払い金請求をすることができなくなります。

過払い金の引き直し計算をする

全日信販から取引履歴を取り寄せたら、引き直し計算をして、過払い金がいくら発生するのかを算出します。引き直し計算には、エクセルと利息計算ソフトを使用します。

利息計算ソフトは、名古屋消費者信用問題研究会、アドリテム無司法書士法人がインターネット上で無料配布しています。

利息計算ソフトに、取引履歴の内容(金利・金額・日付、返済金額・日付)を入力すれば計算することができます。

引き直し計算を自分でするリスク

引き直し計算を自分ですると、複雑な計算を間違える可能性があります。

引き直し計算は、過払い金を請求するための重要なポイントですが、自分で計算をして金額を1円でも間違えると、取り戻せる過払い金が少なくなることや、全日信販に過払い金の返還を断られてしますリスクがあります。

司法書士や弁護士といった専門家に依頼をすることで、自分で引き直し計算をして間違えるリスクがなくなるので、1円でも多く、過払い金を取り戻すことができます。

全日信販へ過払い金返還請求書と引き直し計算書を送る

取引履歴をもとにして引き直し計算をしたあと、全日信販へ過払い金返還請求書と引き直し計算書を内容証明郵便で送ります。

内容証明郵便で送ることで、いつ、誰が、どこに送ったかを証明することができるので、記録として残すことができます。

過払い金返還請求書の内容

  • 日付

  • 全日信販株式会社

  • 全日信販の代表名

  • 名前

  • 住所

  • 連絡先電話番号

  • 振込口座名

  • 口座番号契約番号、会員番号

  • 〇万円の過払い金を返還請求する旨の内容

話し合いで交渉(任意交渉)

全日信販へ、過払い金返還請求書と引き直し計算書を送ったあと、引き直し計算をもとに発生した過払い金の返還率、過払い金を返還するまでの期間を、全日信販の担当者と話し合いで交渉をします。

過払い金請求の裁判

話し合いの交渉で和解ができなかった場合には、裁判をおこないます。

裁判の判決が出るまで、あるいは裁判の途中にも和解をすることができるので、どちらかで過払い金の返還率、返還期間が決まるまでおよそ6か月程度続きます。

全日信販から過払い金が振り込まれる

全日信販と話し合いで和解、あるいは裁判で判決が出たあと、全日信販との和解を示す和解書や裁判の判決内容に応じた過払い金が、全日信販に指定した口座に振り込まれます。

過払い金請求を専門家に依頼していた場合は、司法書士や弁護士事務所の口座に過払い金が振り込まれたあと、相談料、着手金、基本報酬、成功報酬といった費用が差し引かれた金額が、手元に残る過払い金として振り込まれます。

司法書士や弁護士の費用・料金は過払い金から差し引かれる

過払い金請求を司法書士や弁護士といった専門家に依頼すると、相談料、着手金、基本報酬、成功報酬が、費用としてかかります。

司法書士や弁護士の依頼にしてかかる費用や報酬の定義、上限金額は、日本司法書士会連合会(日司連)や日本弁護士連合会(日弁連)のガイドラインで定められています。

司法書士に依頼した場合にかかる費用は、着手金、基本報酬といった定額報酬が合計5万円以下と定められていますが、弁護士に依頼した場合にかかる費用は、基本報酬が上限2万円と定められているだけで、着手金には上限が定められていません。

司法書士や弁護士といった専門家に依頼をする場合は、過払い金請求にかかる費用や相場について、電話・メールで相談、あるいは直接面談をするときに確認をするべきです。

全日信販の過払い金請求をするデメリットとメリット

全日信販の過払い金請求をするデメリットとメリットは、過払い金請求をする時点での全日信販からの借り入れ状況によってちがいます。

借金を完済している方、いまも借金を返済中の方、それぞれの状況にあったデメリットとメリットを確認してください。

完済後に全日信販の過払い金請求をするデメリットとメリット

メリット

デメリット

過払い金を取り戻せる全日信販から借り入れが不要になる

全日信販から新たな借り入れができなくなる

借金の完済後に全日信販の過払い金請求をするデメリット

借金の完済後に全日信販の過払い金請求をするデメリットは、全日信販から新たに借り入れることができなくなることだけです。

全日信販は2017年1月を最後にクレジットキャッシングを停止しているので、新たな借り入れができないことは大きな問題ではありません。ただし、ショッピングクレジットを使用することができなくなる点で、デメリットといえます。

借金の完済後に全日信販の過払い金請求をするメリット

借金の完済後に全日信販の過払い金請求をするメリットは、過払い金を取り戻すことができることです。

全日信販から取り戻した過払い金を生活の資金にすることができるので、生活を少しでもラクにすることができる可能性があります。

生活がラクになれば、今後も新たな借り入れをしなくてよくなるかもしれません。

借金の返済中に全日信販の過払い金請求をするデメリットとメリット

  1. 全日信販の借金が50万円、過払い金が100万円

  2. 全日信販の借金が100万円、過払い金が50万円

例①では、全日信販の借金よりも過払い金が50万円多いので、過払い金を全日信販の借金の返済にあてることで、残った過払い金が手元に戻ってきます。

例②では、全日信販の借金の返済に過払い金をあてても借金が残るので、借金の返済中に全日信販の過払い金請求をする状況になります。

借金の返済中に全日信販の過払い金請求をする場合、ブラックリストに載るデメリット、返済中の借金を減額できる、毎月の返済の負担を減らす交渉ができるメリットがあります。

メリット

デメリット

全日信販に返済中の借金を減額できる

将来の利息カットや返済期間を見直しする交渉ができる

ブラックリストに載る

借金の返済中に全日信販の過払い金請求をするデメリット

全日信販の借金が、返還される過払い金よりも多い場合は、貸金業者と交渉をして、過払い金を差し引いて残った借金を減額する任意整理の手続きをします。

返済の延滞を繰り返したり、借金を滞納したことがある方は、すでにブラックリストに載っているので、過払い金請求をするべきです。

過払い金がいくら発生するかは、貸金業者との取引履歴から払いすぎていた利息を計算する「引き直し計算」をすることでわかります。

引き直し計算をして、発生する過払い金が全日信販の借金より多いか、少ないか、結果が分かってから過払い金請求をするかしないかの判断をすることができます。

借金の返済中に全日信販の過払い金請求をするメリット

借金の返済中に全日信販に過払い金請求をして、過払い金が発生すれば、全日信販の借金の返済に過払い金をあてることで、借金を減額することができます。

また、発生した過払い金が借金の残高よりも多ければ、借金を完済することができます。

発生した過払い金で借金が完済できなければ任意整理をすることになりますが、将来発生する利息をカットする、返済期間を見直して延長することができれば、毎月の返済をラクにすることができるようになります。

全日信販の過払い金請求によるクレジットカードとローンへの影響

住宅ローン・自動車ローンへの影響

全日信販の過払い金請求が、返済中の住宅ローン・自動車ローンに影響することはありません。

過払い金請求をした後に、新たな住宅ローン・自動車ローンの審査に影響することもありませんが、全日信販の借金が、返還される過払い金よりも多い場合は、貸金業者と交渉をして、過払い金を差し引いて残った借金を減額する任意整理の手続きをします。

任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録される、いわゆるブラックリストに載ります。住宅ローンや自動車ローンの審査は、申し込み時の年齢、年収といった情報だけでなく、信用情報機関の情報も対象とするので、ブラックリストに載るとローンの審査に通りにくくなります。

全日信販からの借り入れ返済の延滞を繰り返したり、滞納したことがある方は、すでにブラックリストに載っているので、ローンの審査を気にすることなく過払い金請求をするべきです。



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