ネットカードの過払い金請求ができる条件・返還率・期間

ネットカードの過払い金請求ができる条件・返還率・期間

ネットカード株式会社では、1970年代に女性を対象とした安心してお金を借りられるサービスとしてスタートしました。

24時間の女性スタッフ対応、非対面営業を業界で最初に取り入れ、初めてお金を借りる人にとって魅力的なサービスを提供してきましたが、2017年11月には破産手続き開始が決定しました。

ネットカード株式会社で過払い金がある方は、債権額を記載した破産債権届出書が郵送されます。詳しい条件や期間、返還率などについては、ネットカード株式会社破産管財人室カスタマーセンターへお問い合わせください。この記事では、一般的な過払い金請求について解説します。

ネットカードで過払い金が発生する仕組み

貸金業者からの借り入れには、利息制限法と出資法の2つの法律で上限金利が定められています。利息制限法の金利が20.00%、出資法の金利が29.20%とされていました。

のちに法改正がされるまでは、利息制限法と出資法のどちらかの上限金利を決めて貸し付けることができたので、多くの貸金業者が利息制限法の上限金利である20%を越える金利で貸し付けをしていました。

しかし、2010年6月に出資法と貸金業法が改正されたことで、貸し付けの上限金利が出資法の金利29.2%から、利息制限法の金利20.0%に引き下げられました。

法改正によって、多くの貸金業者が利息制限法の上限金利である「20.00%以内」に変更しています。

法改正前に利息制限法の上限金利を超える金利で返済を続けていた方は、グレーゾーン金利と呼ばれる、利息制限法と出資法の金利差で払いすぎていた利息を返還請求をすることができます。

過払い金請求ができない人

借り入れ金額によって上限金利が変わります。借り入れ金額が10万円未満の場合は上限金利20%、10万円以上100万円未満の場合は上限金利18%、100万円以上の場合は上限金利15%です。

2010年の法改正後に借り入れした方の場合は、上限金利が利息制限法で定められた金利の範囲内なので、過払い金が発生しません。

借り入れ金額と返済回数で増減する過払い金の金額

借り入れ金額と返済回数で過払い金の金額が増減します。

借り入れ金額と返済回数が少ない場合は、貸金業者に支払っている利息が少ないので、発生する過払い金も少ないです。一方で、借り入れ金額と返済回数が多い場合は、貸金業者に支払っている利息がそのぶん多いので、発生する過払い金も多いです。

クレジットカードの場合、リボルビング払いで返済していると、借り入れの返済回数が多くなるので、一括払いでの返済よりも発生する過払い金が多くなります。

過払い金請求ができなくなるリスク

時効が成立して過払い金請求ができなくなる

過払い金には時効があり、最後の取引から10年が経過すると時効が成立して、過払い金を取り戻すことができなくなります。

借り入れに関する情報は、各貸金業者から取引履歴を取り寄せることで確認することができます。

貸金業者が倒産して過払い金請求ができなくなる

過払い金請求の対象となる貸金業者の経営状況が悪化すると、取り戻せる過払い金の額が少なくなります。

さらに、貸金業者が倒産してしまうと、過払い金が発生していても過払い金請求をすることができないので、1円も取り戻すことができなくなります。

過払い金請求にかかる期間と過払い金の返還率

話し合い和解をするか、裁判をするかによって、過払い金を取り戻すまでにかかる期間(返還期間)と、発生する過払い金に対して実際に返還される金額の割合(返還率)が違います。

話し合いによる交渉で和解した場合は、返還期間が短くなりますが、取り戻せる過払い金が少なくなる傾向があります。一方で、裁判をする場合は、返還期間が長くなりますが、取り戻せる過払い金が多くなる上に、過払い金の元本に対する利息もあわせて取り戻せる可能性があります。

自分で過払い金請求をすることもできますが、貸金業者との交渉に慣れていないので返還期間が長くなったり、過払い金の返還率が悪くなって取り戻せる金額が少なくなるので、過払い金請求を専門的にあつかっていて、貸金業者との交渉経験が豊富な司法書士や弁護士に依頼するべきです。

司法書士・弁護士に依頼してかかる期間

過払い金請求の手続きには、話し合いの交渉で和解する任意交渉と裁判があり、任意交渉の場合と裁判の場合では、過払い金が取り戻せるまでの期間が違います。

任意交渉の場合は、裁判よりもはやく3か月程度で過払い金を取り戻せることがありますが、貸金業者の対応によって時間がかかってしまうケースもあります。

一方で、裁判の場合は、任意交渉よりも時間がかかり、6か月~1年程度かかることがあります。貸金業者が控訴をして二審、三審と裁判が長引いた場合は、2年程度の期間がかかることもあります。

過払い金を取り戻すまでの流れ

貸金業者から取引履歴を取り寄せる

過払い金請求をする前に、貸金業者から取引履歴を取り寄せます。取引履歴には、借り入れしたときの金利・金額・日付、返済した金額・日付が記載されています。

貸金業者の取引履歴の取り寄せは、貸金業者によって対応がさまざまですが、貸金業者に問い合わせることで取り寄せることができます。

貸金業者から取引履歴を取り寄せるときの注意点

過払い金請求をする目的を伝えない

貸金業者から取引履歴を取り寄せるときに、過払い金請求をするといった目的を伝えないように注意してください。

「返済義務がないと知っていて、任意で返済した借金の過払い金は請求することができない」といった内容が、民法705条によって定められています。

貸金業者に過払い金請求する目的を伝えた上で返済を続けていると、過払い金が少なくなってしまう場合や、過払い金を取り戻せなくなる可能性があります。

ゼロ和解しない

貸金業者から取引履歴を取り寄せるときに、貸金業者から「借り入れを0円にする(ゼロ和解)」、「利息を減額する和解書にサインをする」ことが提示されることがあります。

貸金業者からの条件で和解した場合に、過払い金請求をする権利を放棄することが和解書に記載されていると、過払い金請求が発生していたとしても、過払い金請求をすることができなくなります。

過払い金の引き直し計算をする

貸金業者から取引履歴を取り寄せたら、引き直し計算をして、過払い金がいくら発生するのかを算出します。引き直し計算には、エクセルと利息計算ソフトを使用します。

利息計算ソフトは、名古屋消費者信用問題研究会、アドリテム無司法書士法人がインターネット上で無料配布しています。

利息計算ソフトに、取引履歴の内容(金利・金額・日付、返済金額・日付)を入力すれば計算することができます。

引き直し計算を自分でするリスク

引き直し計算を自分ですると、複雑な計算を間違える可能性があります。

引き直し計算は、過払い金を請求するための重要なポイントですが、自分で計算をして金額を1円でも間違えると、取り戻せる過払い金が少なくなることや、貸金業者に過払い金の返還を断られてしますリスクがあります。

司法書士や弁護士といった専門家に依頼をすることで、自分で引き直し計算をして間違えるリスクがなくなるので、1円でも多く、過払い金を取り戻すことができます。

貸金業者へ過払い金返還請求書と引き直し計算書を送る

取引履歴をもとにして引き直し計算をしたあと、貸金業者へ過払い金返還請求書と引き直し計算書を内容証明郵便で送ります。

内容証明郵便で送ることで、いつ、誰が、どこに送ったかを証明することができるので、記録として残すことができます。

過払い金返還請求書の内容

  • 日付

  • 請求する貸金業者の正式名称

  • 請求する貸金業者の代表名

  • 名前

  • 住所

  • 連絡先電話番号

  • 振込口座名

  • 口座番号契約番号、会員番号

  • 〇万円の過払い金を返還請求する旨の内容

話し合いで交渉(任意交渉)

貸金業者へ、過払い金返還請求書と引き直し計算書を送ったあと、引き直し計算をもとに発生した過払い金の返還率、過払い金を返還するまでの期間を話し合いで交渉をします。

過払い金請求の裁判

取り戻せる過払い金の金額が変わる裁判の争点

貸金業者から借り入れを繰り返している場合は、取り戻せる過払い金の金額が変わる可能性があります。

貸金業者から繰り返している借り入れが、一連の取引としてあつかわれるか、分断された取引としてあつかわれるかが、裁判の争点になります。

例えば、同じ契約番号で借り入れを繰り返している、貸金業者に1,000円未満の借り入れがある、いずれかのケースでは、借り入れが「一連の取引」としてあつかわれることで、取り戻せる過払い金の金額が多くなります。

一方で、繰り返している借り入れが分断された取引としてあつかわれると、それぞれの借り入れに対して過払い金を計算するので、取り戻せる過払いが少なくなります。

繰り返している借り入れが一連の取引か、分断された取引か、どのようにあつかわれるかを自分で判断することや、引き直し計算をすることはむずかしいので、司法書士や弁護士といった専門家に相談をするべきです。

貸金業者から過払い金が振り込まれる

貸金業者と話し合いで和解、あるいは裁判で判決が出たあと、貸金業者との和解を示す和解書や裁判の判決内容に応じた過払い金が、貸金業者に指定した口座に振り込まれます。

過払い金請求を専門家に依頼していた場合は、司法書士や弁護士事務所の口座に過払い金が振り込まれたあと、相談料、着手金、基本報酬、成功報酬といった費用が差し引かれた金額が、手元に残る過払い金として振り込まれます。

司法書士や弁護士の費用・料金は過払い金から差し引かれる

過払い金請求を司法書士や弁護士といった専門家に依頼すると、相談料、着手金、基本報酬、成功報酬が、費用としてかかります。

司法書士や弁護士の依頼にしてかかる費用や報酬の定義、上限金額は、日本司法書士会連合会(日司連)や日本弁護士連合会(日弁連)のガイドラインで定められています。

司法書士に依頼した場合にかかる費用は、着手金、基本報酬といった定額報酬が合計5万円以下と定められていますが、弁護士に依頼した場合にかかる費用は、基本報酬が上限2万円と定められているだけで、着手金には上限が定められていません。

司法書士や弁護士といった専門家に依頼をする場合は、過払い金請求にかかる費用や相場について、電話・メールで相談、あるいは直接面談をするときに確認をするべきです。

過払い金請求をするデメリットとメリット

過払い金請求をするデメリットとメリットは、過払い金請求をする時点での借り入れ状況によってちがいます。

借金を完済している方、いまも借金を返済中の方、それぞれの状況にあったデメリットとメリットを確認してください。

完済後に過払い金請求をするデメリットとメリット

借金の完済後に過払い金請求をするデメリット

借金の完済後に過払い金請求をするデメリットは、過払い金請求をした貸金業者から新たに借り入れることができなくなることだけです。

ただし、過払い金の時効が成立したり、、対象となる貸金業者が倒産したりすると、過払い金請求をすることができなくなり、過払い金が発生していても1円も取り戻すことができません。

借金の完済後から時間がたっている方は、1日でもはやく過払い金請求をすべきです。

借金の完済後に過払い金請求をするメリット

借金の完済後に過払い金請求をするメリットは、過払い金を取り戻すことができることです。

取り戻した過払い金を生活の資金にすることができるので、生活を少しでもラクにすることができる可能性があります。

生活がラクになれば、今後も新たな借り入れをしなくてよくなるかもしれません。

借金の返済中に過払い金請求をするデメリットとメリット

  1. 貸金業者からの借金が50万円、過払い金が100万円

  2. 貸金業者からの借金が100万円、過払い金が50万円

例①では、借金よりも過払い金が50万円多いので、過払い金を借金の返済にあてることで、残った過払い金が手元に戻ってきます。

例②では、借金の返済に過払い金をあてても借金が残るので、借金の返済中に過払い金請求をする状況になります。

借金の返済中に過払い金請求をする場合、ブラックリストに載るデメリット、返済中の借金を減額できる、毎月の返済の負担を減らす交渉ができるメリットがあります。

借金の返済中にの過払い金請求をするデメリット

現在返済中の借金が、返還される過払い金よりも多い場合は、貸金業者と交渉をして、過払い金を差し引いて残った借金を減額する任意整理の手続きをします。

返済の延滞を繰り返したり、借金を滞納したことがある方は、すでにブラックリストに載っているので、過払い金請求をするべきです。

過払い金がいくら発生するかは、貸金業者との取引履歴から払いすぎていた利息を計算する「引き直し計算」をすることでわかります。

引き直し計算をして、発生する過払い金が現在返済中の借金より多いか、少ないか、結果が分かってから過払い金請求をするかしないかの判断をすることができます。

借金の返済中に過払い金請求をするメリット

借金の返済中に過払い金請求をして、過払い金が発生すれば、現在返済中の借金の返済に過払い金をあてることで、借金を減額することができます。

また、発生した過払い金が借金の残高よりも多ければ、借金を完済することができます。

発生した過払い金で借金が完済できなければ任意整理をすることになりますが、将来発生する利息をカットする、返済期間を見直して延長することができれば、毎月の返済をラクにすることができるようになります。

過払い金請求によるクレジットカードとローンへの影響

住宅ローン・自動車ローンへの影響

過払い金請求が、返済中の住宅ローン・自動車ローンに影響することはありません。

過払い金請求をした後に、新たな住宅ローン・自動車ローンの審査に影響することもありませんが、現在返済中の借金が、返還される過払い金よりも多い場合は、貸金業者と交渉をして、過払い金を差し引いて残った借金を減額する任意整理の手続きをします。

任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録される、いわゆるブラックリストに載ります。住宅ローンや自動車ローンの審査は、申し込み時の年齢、年収といった情報だけでなく、信用情報機関の情報も対象とするので、ブラックリストに載るとローンの審査に通りにくくなります。

借り入れで延滞を繰り返したり、滞納したことがある方は、すでにブラックリストに載っているので、ローンの審査を気にすることなく過払い金請求をするべきです。

ネットカードの会社概要

ネットカード株式会社は1971年11月に創業され、1976年4月から個人ローン事業を開始しました。1970年代には、女性を対象とした安心してお金を借りられるキャッシングサービスとしてベティ・ローンをスタートさせました。ネットカード株式会社は常に新しい個人ローンサービスに取り組んできており、女性スタッフが24時間体制で申し込みに対応するなど、女性に配慮したサービスを提供してきました。また、店舗を廃止した非対面営業を取り入れ、お金を初めて借りる人にとって魅力的なサービスを提供していました。

2000年に富士キャッシュサービス株式会社を吸収合併し、同年にユニゾン・キャピタル・パートナーズが経営権を獲得しました。その後、2003年にイーバンク銀行とイーバンクローンプラザで業務提携をしました。2005年にGMOインターネット株式会社がユニゾン・キャピタル・パートナーズの株式を取得して、2006年に商号がGMOネットカード株式会社に変更されました。しかし、2007年にGMOインターネット株式会社がローン事業から撤退したため、商号はネットカード株式会社に変更されました。その後、経営状況が悪化して破産手続きが取られています。

詳しい条件や期間、返還率などについては、ネットカード株式会社破産管財人室カスタマーセンターへお問い合わせください。過払い金がある場合は、ネットカード株式会社破産管財人室カスタマーセンターに届出書を提出し、最終取引日から10年以内であれば、過払い金を取り戻すことができます。

また、司法書士や弁護士といった専門家に依頼することで、1円でも多くの過払い金を取り戻すことができます。しかし、どの司法書士・弁護士に依頼するか選ぶときには注意が必要で、過払い金請求に強い司法書士・弁護士を探して、実際に面談をしてから依頼するようにしましょう。

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