クレジットカードの過払い金請求で注意すべき落とし穴

クレジットカードの過払い金請求で注意すべき落とし穴

「クレジットカードは過払い金請求できる?」
「クレカの過払い金請求で注意すべきことは?」

といったご質問がたくさん寄せられています。

クレジットカードは過払い金が発生する借金なので、過払い金請求できますが、クレジットカードを利用した分だけ過払い金が取り戻せるわけではなく、キャッシング利用のみ過払い金が発生します。

クレジットカードで過払い金が発生する条件を知らずに手続きを進めてしまうと、5年程度ブラックリストにのってしまい、クレジットカードが利用できない、新たにクレジットカードが作れないといった落とし穴があります。

まずは、クレジットカードを過払い金請求できる条件と落とし穴を正しく知ってから過払い金請求するべきです。

過払い金請求できるクレジットカードの条件

2010年までにクレジットカードのキャッシング(借入)を利用したことがある

過払い金とは、消費者金融やクレジットカード会社といった貸金業者に払い過ぎていた利息のことです。

2010年まで、消費者金融やクレジットカード会社といった貸金業者は、貸金業法にもとづいて利息制限法の上限金利20%、出資法の上限金利29.2%のどちらかを守って、お金を貸していました。

2010年6月18日に貸金業法と出資法が法改正されて、利息制限法で定められている上限金利が~20%へ引き下げられたので、2010年6月17日より前からクレジットカードでキャッシング利用をしていれば、過払い金が発生する可能性があります。

    ただし、クレジットカードで過払い金が発生するケースはキャッシングのみです。

クレジットカードは、買い物などの支払いを立て替えられるショッピング利用とお金を借り入れられるキャッシング利用の2種類がつかえます。

どちらも借金に位置づけられますが、過払い金請求は利息制限法をもとにおこなう手続きであって、利息制限法の対象となるキャッシング利用のみ過払い金が発生します。

キャッシングを利用していれば、リボルビング払いや一括払い、分割払いといった返済方法にかかわらず過払い金請求できる可能性があります。

一方で、ショッピング利用は割賦販売法という法律が対象になっていて、クレジットカード会社から支払いを立て替える形でつかうことになります。

利息制限法の対象外となるので、ショッピング利用で過払い金が発生することはありません。

カード会社によって請求の有無や期間、手続きがちがう

過払い金請求については、お使いのクレジットカード会社によって、返還率や手続き期間が異なります。利用中のクレジットカード会社で過払い金請求を行うことができる可能性は高いですが、他の会社にも過払い金請求が可能です。自分に過払い金があるか、どの程度あるかを確認するためには、まずは過払い金についての相談を行うことをおすすめします。

今はないカードも請求できる場合がある

クレジットカード会社の中には他の会社に吸収合併した会社があります。吸収合併しても吸収したカード会社に対して過払い金請求をおこなうことで過払い金を取り戻すことができます。

吸収されたクレジットカード会社

吸収したクレジットカード会社

ゼロファースト

エポス

オーエムシーカード・セントラルファイナンス・クオーク

セディナ

日本信販・UFJカード・ディーシーカード

ニコス

過払い金請求できないクレジットカードの条件

ショッピング機能しか使っていない

クレジットカードでキャッシング(借り入れ)機能を使っておらず、ショッピングだけ使用している場合は過払い金が発生しません。ショッピングで支払うお金は「立て替え金」であり、「貸し付け金」ではないからです。「立て替え金」で発生する余剰分は利息ではなく、分割手数料のため、過払い金の対象になりません。

最後の取引から10年以上経過している

2010年以前にクレジットカードを利用した場合、過払い金請求が可能ですが、最後に手続きをした日から10年が経過すると時効が成立し、請求ができなくなります。取引履歴を確認することで最後に手続きをした日を確認することができます。過払い金請求の時効については個人では判断が困難なため、専門家に相談することをおすすめします。

過払い金請求するクレジットカード会社が存在しない(倒産している)

クレジットカードを使って貸してもらったお金が返済期間中に多く支払われることがあり、それを過払い金と言います。もし、過払い金がある場合は、それを返還する請求を出すことができます。しかし、クレジットカード会社が倒産している場合は、過払い金を請求することはできなくなります。また、過払い金を請求することで会社が経営上の問題を抱えることもあるので、早めに請求することをおすすめします。

クレジットカード会社に過払い金請求するリスクとリスクを回避する方法

過払い金請求をした会社のクレジットカード会社が利用できなくなる

過払い金請求は過払い金を取り戻すために重要な手段ですが、請求したクレジットカード会社から以後使用できなくなる可能性もあります。これは、請求をしたことでクレジットカード会社内のブラックリストに載せられるためです。

これにより、今後そのクレジットカードを利用することができなくなったり、審査が厳しくなる可能性があります。ただし、その他のクレジットカード会社には影響はなく、使用することができます。請求する前に、それが影響を及ぼすかどうかを考慮することが重要です。事前に他のクレジットカードを作成することもできます。

借金が上回ればブラックリストに載る

過払い金請求は、貸金業者から過払った利息を返還することができるという利点がありますが、その反面、貸金業者からのブラックリストに載ることもあります。

ブラックリストに載ると、今後の借り入れやクレジットカードの審査が厳しくなり、それまで使用していたクレジットカードも使用できなくなる可能性があります。しかし、ブラックリストに載っても一生その状態が続くわけではありません。

手続きをしてから5年が経過すると、クレジットカードの審査は比較的楽になります。また、ブラックリストに載っている間には、代わりに使用できるサービスもありますので、過払い金請求だけでなく、任意整理を選ぶことで、現在の生活をより豊かにすることができるかもしれません。

ブラックリストを避ける方法

  • 過払い金請求よりも、ショッピングやキャッシングの利用残高を少なくする

  • 過払い金請求の対象となっているクレジットカード会社だけを選んで請求する

過払い金請求よりも、ショッピングやキャッシングの利用残高を少なくする

過払い金請求をする前に、ショッピングで使ったお金が過払い金よりも多いか調べましょう。もし、過払い金よりもショッピングで使ったお金が多い場合は、その分だけ使ったお金を減らすことができます。また、弁護士や司法書士に頼むことで、過払い金をもっと取り戻すことができるかもしれません。こうすることで、過払い金を減らし、ブラックリストに載ることもなくなります。

過払い金請求の対象となっているクレジットカード会社だけを選んで請求する

ショッピング利用やキャッシング利用をして残高がないクレジットカード会社だけを選び、過払い金請求をおこなえば、借金を減らす任意整理の手続きを回避することができます。回避できればブラックリストに載ることはありません。複数の会社のクレジットカードを同時に利用しているときはショッピングとキャッシングの残高を確認するようにしましょう。

クレジットカード会社に過払い金請求をする流れ

過払い金請求をする際には、自分でやるか専門家に依頼するかを検討し、選択することが重要です。自分でやる場合は手続きをすべて自分で行う必要がありますが、専門家に依頼する場合は手続きのほとんどを代行してくれます。

クレジットカード会社から取引履歴を取り寄せる

クレジットカードを使って借りたお金の詳細(いつから借りたか、いつまで返したか、金利は何パーセントだったか、どれくらい返したか)である取引履歴を、クレジットカード会社から取り寄せます。

自分で取り寄せる場合は、弁護士や司法書士が取り寄せる場合に比べて後回しにされがちなので、弁護士や司法書士に依頼するのがおすすめです。

過払い金がどれくらいあるか計算する

過払い金がいくら発生しているか、引き直し計算をします。

利息制限法の金利にもとづき、取引履歴の情報から借り入れした時にかかった上限金利を計算し直すことで、過払い金がいくら発生しているかを算出することができます。

インターネット上で過払い金計算ソフトをダウンロードして計算できますが、間違った計算をして過払い金請求をすると請求が断られることがあるので専門の司法書士や弁護士に依頼するべきです。

開示してもらった取引履歴が途中までしかない場合には、推定計算という計算方法が必要になります。私生活では全くなじみのない計算になるため、こちらも専門の司法書士や弁護士に依頼してしまった方がよいです。

過払い金の返還請求をおこなう

過払い金の金額がわかったら、クレジットカード会社に過払い金請求書と引き直し計算書を郵送します。

過払い金請求書はネット上でもフォーマットのダウンロードが可能ですが、過払い金請求の依頼を司法書士や弁護士に依頼している場合は、自身で作成する必要はありません。

過払い金の支払いについて交渉をする

必要書類を郵送した後は、返還金額、返還期日、返還方法(一括または分割)について交渉をはじめます。

任意交渉にかかる期間は1か月~3か月程度ですが、任意交渉が成立しなかった場合は、裁判(訴訟)をおこすことになります。

和解しなかったら裁判をする

過払い金請求は最初は話し合い(任意交渉)がおこなわれますが、話し合いが成立しなければ裁判(訴訟)が必要になります。

自分で過払い金請求をする場合は、裁判の手続きもすべて自分で行わなくてはいけませんが、専門家に依頼する場合は必要な手続きを代行してくれます。

過払い金を入金してもらう

自分で請求したときは2か月~4か月

クレジットカード会社から個人の口座に過払い金の入金があります。

自分で和解もしくは裁判(訴訟)によって話がまとまった後に、入金までの期間は2か月~4か月程度かかります。

事務所に依頼して請求したときは1週間~10日

司法書士や弁護士に依頼して過払い金を請求したときは、自分の手元に入金されるのではなく、事務所の預かり口座に入金されてから、成功報酬などを差し引いた金額が振り込まれます。

事務所によって支払い期間は変わりますが、おおよそ1週間~10日ほどで支払われるケースがほとんどです。

クレジットカード会社に過払い金請求する前に知っておくべきこと

銀行の口座残高を確認しておく

過払い金請求をする時には、まずクレジットカード会社に「過払い金請求の手続きを開始する」と通知し、返済をストップしてもらうことが必要です。そして、借り入れしたときの金利・金額・日付、そして返済した金額・日付が記載された取引履歴をクレジットカード会社からもらうことが重要です。このデータをもとに、過払い金を計算します。

ただし、口座残高をすべて使ってしまっている場合、クレジットカード会社が引き落としをストップするのが間に合わなくなり、借金が返済されてしまう可能性があるので、銀行の口座残高を残しておくことが大切です。

クレジットカード払いの設定を変更しておく

スマホの利用料金や公共料金、保険料、その他サービスの支払いにクレジットカードを登録して決済をしている場合は、クレジットカードが停止すると支払いが未払いになってしまいます。未払いになると当然のことながら利用サービスは停止してしまいますし、利用料の請求に事務所手数料が上乗せされる場合もあります。

債務整理をする前に支払い方法を銀行引き落としやコンビニ支払いなどに変更して対応するようにしましょう。

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